人を疑うよりも、信用して騙された方がよい。
という聞こえの良い言葉が通用していたのは、古き良き時代のことかもしれません。
という聞こえの良い言葉が通用していたのは、古き良き時代のことかもしれません。
毎年発表される詐欺の被害額から分かるように、人を騙そうとする悪い輩は後を絶ちません。
振り込め詐欺などの被害に遭い、虎の子の貯金を奪われしまったお年寄りの方も大勢いることでしょう。
騙されたことに気付かない被害者も大勢いるかもしれず、今の日本で生きていくには、それなりの警戒心が必要のようです。
騙されたことに気付かない被害者も大勢いるかもしれず、今の日本で生きていくには、それなりの警戒心が必要のようです。
そして、そんな罠に引っかからないためには、犯人が吐く嘘を見破らなくてはなりません。
まず、多くの被害者を生み出したオレオレ詐欺ですが、よく知られているように、息子を名乗る犯人は、事故で他人に大怪我をさせてしまったとか、巨額の公金を使い込んでしまったとか、妻子ある女性を妊娠させてしまったとか、電話相手である親を動揺させる文言が入っています。
また、その口調は多分に誇張されています。
ワンクリック詐欺と呼ばれる詐欺も、とあるサイトを覗いていて、ある箇所をクリックすると、突然「登録が完了しました」と画面に表示され、数万円の振込みを要求され、もし解約を希望するのであれば、24時間以内にこちらの電話番号やメールアドレスに連絡をしてください。といった文言が表示されるあれです。
ここでも、
そして次に、数十万円や数百万円といった払えそうな額が必要だと告げます。
ただし、明日までに振り込まなければならないと時間を区切ります。
ここまでの会話を分析すると、
- 息子が人様に迷惑を掛けたという親の弱みに付け込み、
- 大袈裟なリアクションで分別を失わせ、
- 逃げ道を提示し、
- 時間を区切って焦らせ、
- 即座の行動を促す。
という流れができています。
この手口は、他の詐欺事件でも同じように使われています。
ここでも、
- アダルトといったサイトであればそういうサイトを見ている弱みに付け込み、
- さらには、IPアドレス、OSのバージョン、使用ブラウザといった個人情報を表示し脅すことで分別を失わせ、
- 電話やメールアドレスで逃げ道を提示し、
- 時間を区切って焦らせ、
- 即座の行動を促す
という流れができています。
ここで電話やメールをすると、さらに過剰な請求をされてしまいます。
そんな相手の罠に引っかからない人間とは、弱みに付け込まれず、脅しや誇張によって分別を失わない者です。
そして、脅しや誇張によって分別を失わない者とは、その件に関する経験があったり、ある程度の知識を備えている者です。
そして、脅しや誇張によって分別を失わない者とは、その件に関する経験があったり、ある程度の知識を備えている者です。
振り込め詐欺の場合であれば、まず過去に振り込め詐欺自体で騙された経験があれば、オレオレと言われた時点で同じだと分かり、引っ掛かる可能性は低下するでしょう。
また、息子が自動車事故を起こしたと聞いたとき、過去に自分が人身事故を経験していれば、任意保険でカバーできることぐらいは知っているはずです。
さらにその手続きをするためには、警察を呼ばなければならないことも知っているはずです。
経験に勝る学習方法はなく、過去に同じ体験をしていれば、脅しや誇張に対処できる可能性が高くなります。
示談は危険な場合が多く、事故時は保険のプロに任せるべきであるなど、仕事で使用しているぐらいの詳しい知識があれば、脅しや誇張に対処できるでしょう。
他にも、たとえ経験や知識がなくとも、危機に動じない心を持っていれば、脅しや誇張に驚かないかもしれません。
例えば不動心を備えている人ならば、息子から事故の報告を受けたとき、まず現状を正確に把握するために、以下のような質問をすると思われます。
- 相手の怪我の状態はどうなのかとか、
- いまどこの病院にいるのかとか、
- あなたは怪我をしているのかとか、
- その金額は誰がどのように算出したのかとか、
- 警察に相談したのかとか、
またそのように対応していけば、息子の声が違うことも分かってくるはずです。
動じない心とは、先天的な性格も関係するかもしれませんが、公私様々な場面で幾度もの修羅場をくぐることで獲得できるものだと思われ、なかなか身に付くものではなく、しかも最近の振り込め詐欺は手が込んでおり、事前に電話番号が変わった旨の連絡をしていたり、複数の人間が登場したり、他の親族を巻き込んでいたりと、いくら知識、経験、度胸があっても、犯人に騙されてしまう可能性もあります。
では、巧妙な振り込め詐欺には、なすすべもないのでしょうか?
この頼りになる第三者がいなければ、自分がなることも可能でしょう。自分を客観視するもう一人の自分を育てる方法は、当ブログで紹介しているように、鏡を用意し、喋っている自分を見つめ続けることです。自分の精神によって産み出した言葉を、もう一人の自分が見聞きする状態を継続し、精神を主体と客体に分ける訓練をすることです。
もしここで、早く銀行に行かなければとか、すぐに郵便局のレターパックで現金を送らなきゃ、と焦る当人の側に第三者がいれば、度を超した慌て様に不自然さを感じるはずです。
そして、話の内容を聞けば、電話の主は本当に息子さんなのかを疑い、オレオレ詐欺の可能性を指摘してくれるかもしれません。
少なくとも電話を切ったあと、もう一度息子さんに詳しく確認したらどうかなどと促してくれるはずです。
当事者は周りが見えなくなっていますが、第三者は客観的に物事を見て判断することができます。
この訓練で自分を俯瞰する視点を獲得すれば、もしかしたら、振り込め詐欺などの電話を受けたとき、冷静さを欠いている自分が認識できるようになるかもしれません。
そして、この記事で考察してきた詐欺の手口は、他にも幅広く応用されていることに気付きます。
例えば、カルト宗教が善良な市民を引きずり込むときにも、
- 身内の不幸や本人の病気など、相手が弱っているところにスーと忍び寄り、
- 先祖の霊が悪いだの、天罰が下っただの、信心が足りないだの、このままだとさらに悪いことが起こるだのと言って徐々に追い込み、
- 私たちとお祈りすれば救われるだのと逃げ道を提示し、
- 明日集まりの会があるからさっそく行きましょうと言って時間を区切り、
- 即座の行動を促す。
といった手法が採られています。
この身内や自分に不幸が起きたとき、弱っている自分を認識し、今の自分は付け込まれる可能性が高いことを把握するだけでも、ひとまずの防御になります。
このように、世間に数多く存在する詐欺から身を守るには、まずは相手の繰り出す手口を詳細に理解し、次に自分を客観視する方法を身につけることが重要だと思われます。
彼を知り 己を知れば 百戦殆ふからず
かれをしり おのれをしれば ひゃくせんあやうからず
敵を知り、己を知れば、何度戦っても敗れることはない
あんたなんばしよっとね、自分で責任とりんしゃい
かれをしり おのれをしれば ひゃくせんあやうからず
敵を知り、己を知れば、何度戦っても敗れることはない
孫子の兵法にもあるように、これは闘いにおける鉄則であり、ビジネスでも、就職活動でも、恋愛でも、人生の至るところで当てはまる格言だと思われます。
ただし、今まで色々と述べてきましたが、オレオレ詐欺の本当の撃退方法を知っているのは、事故を引き起こした息子を騙る電話が来たとき、
と言って電話を切ってしまう、肝っ玉母ちゃんなのかもしれません。
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