Free-PhotosによるPixabayからの画像
恋愛映画「ビフォア・サンライズ」は、イーサン・ホーク演じるアメリカ人の青年と、ジュリー・デルピー演じるフランス人の女学生が、ヨーロッパの長距離電車内で隣り合わせに座り、会話を重ねていくところから始まります。
そして、二人で一緒にウィーンで下車し、朝まで街を散策していく物語となっています。
このようにストーリーは起伏のないものですが、ウィーンの歴史ある街並みを背景に繰り広げられる二人のしゃれた会話がこの映画の醍醐味です。
この映画を見終わったあと、私は主人公のアメリカ人ジェシーに嫉妬しました。
なぜなら私には、ジェシーのような洒落た会話が出来なかったからです。
私も若い頃、チケットがキャンセルで余り、ただで行けるから行かないかと言われてついて行っただけのヨーロッパ旅行なのですが、その行程の中で、確かスイスのジュネーブからフランスのパリに向かう電車だったと思うのですが、同じくパリジェンヌと隣り合わせになりました。
男と女が出会えば、たとえ国が違っても恋の花咲く事もある、などと期待したわけではありませんが、普通に話し掛けました。
当時の私は、この映画のジェシーのような確固たる人生観もなく、話の糸口はフランスについてでした。
その頃のフランスに関する私の知識と言えば、エッフェル塔・凱旋門・ナポレオン・プラティニ・シャンパンサッカー・セーヌ川・ルーブル美術館・フランス料理・フランスパン・ラスコーの壁画・シャネル・蚤の市ぐらいのものでした。
今は多少知識も増えましたが、皆さんはどれくらいキーワードが思い浮かび、どれを会話の糸口として使いますか?
とりあえず当時の私は、拙い知識と英語でパリジェンヌとの会話を進めていきましたが、その後、案の定会話に詰まりました。
そして沈黙の時間が流れたあと、困った私の口から出た言葉は、
「あなたは香水は好きですか?」
でした。
オーマイガッ!
OH!MYコンブ
フランスと言えば香水だと思ったのでしょうか。
確かにフランスでは、香水と呼べるものが、オードトワレ、オーデコロン、パルファムと、濃度や持続時間により言葉が分類されており、日本よりも香水に対する意識が洗練されています。
しかしそのことは、自らの身体に香りをまとう必要があった過去の歴史の裏返しです。
フランス人をはじめとした欧米人は、お風呂に入る回数が少ないと言われ、現在でも簡単にシャワーで済ますことが多いようです。
日本の過去の歴史においても、衣類に焚き込めるお香などは、体臭を隠すためでもあったように、身体を洗う頻度と香りの文化というものは、少なからず関連しているでしょう。
また、フランスといったロマンス語に括られるラテン系は基本的に肉食文化と言われており、そのことで体臭が強くなることもあるでしょう。
また、フランスといったロマンス語に括られるラテン系は基本的に肉食文化と言われており、そのことで体臭が強くなることもあるでしょう。
このような歴史から香水が発達したということを考えれば、私が彼女に投げ掛けた、「香水は好きですか?」という問いは、もしかして「あなたは臭いですか?」と同じことだったのかもしれません。
この過ちに気づいたのは、帰国後に旅行を振り返ったときでした……
日本の皆さん、誠に申し訳ありませんでした。
もっとも歳を取った私も加齢臭が気になるところであり、この体臭というものは人間のフェロモンにも関係し、文化、性差、個人差、そして自らの嗅覚など様々な要因が関わってきます。
もっとも、「香水が好きですか?」と聞いただけで過敏に反応されてしまえば、議論も何もできなくなってしまうのは確かであり、またこの時、フランス国民のCHANELの5番についての認識など、もっと深い話をしておけば良かったとは思います。
ここらで話を映画に戻しましょう。
電車の中で意気投合した二人ですが、電車がウィーンに到着し、ジェシーが降りるために別れがやってきます。
しかし、一度は電車を降りたジェシーですが、セリーヌを誘いに電車へ戻ってきます。
そのときシャレオツなジェシーが発する文句がニクいのです。
「今から10年か20年後、君は結婚している。結婚生活はかつての情熱を失った。君は夫のせいにし、昔出会った男たちのことを思う。その中で誰かを選んでたらと……例えば僕だよ。これは未来から現在へのタイム・トラベル。若い頃失ったかもしれない何かを探す旅」
Think of it like this: jump ahead, ten, twenty years, okay, and you're married. Only your marriage doesn't have that same energy that it used to have, y'know. You start to blame your husband. You start to think about all those guys you've met in your life and what might have happened if you'd picked up with one of them, right? Well, I'm one of those guys. That's me y'know, so think of this as time travel, from then, to now, to find out what you're missing out on.
引用 作中
男の私でもやられてしまう名文句であり、まるでタンチョウの求愛ダンスのように言葉が躍動しております。
そのジェシーの殺し文句に、電車でバタイユの小説「マダム・エドワルダ」を読み、ソルボンヌに通う才女のセリーヌは、やられてしまい、一緒にウィーンで下車することになります。
そのジェシーの殺し文句に、電車でバタイユの小説「マダム・エドワルダ」を読み、ソルボンヌに通う才女のセリーヌは、やられてしまい、一緒にウィーンで下車することになります。
この先は映画でお楽しみください。
なお、先ほど引用したジェシーの殺し文句は、2ちゃんねるの就職版に書き込まれた以下の言葉と似ています。
この映画と2chの発言のどちらが先か、もしくは他にオリジナルがあるのか分かりませんが、このような言葉を自分の中で血肉化し、状況に応じてアウトプットできることが、恋の駆け引きや会話を上手に進めていくための条件なのかもしれません。
引用紹介映画
0 件のコメント:
コメントを投稿