「心に太陽を持て」という一冊の本があります。
明治生まれの作家・山本有三氏の小説ですが、古びることのない普遍的な内容の短編物語が集められており、小学生や中学生におすすめの書籍です。
私が知ったのは大人になってからで、数学者の藤原正彦さんが紹介していたからですが、その中の「くちびるに歌を」は、以下のようなあらすじの一編となっています。
ある晩のこと、小さな汽船が大きな船に衝突しました。
そして汽船は沈没し、乗客は海に投げ出されました。
そこから必死の救助活動が開始されましたが、取り残された人も大勢いました。
その中の一人であった男性は、孤独のうちに暗い波間を漂っていました。
男性は難破した場所から随分離れてしまい、誰の声も聞こえなくなり、暗黒の静けさの中で死への恐怖に脅えていると、どこからか美しい女性の歌声が聞こえてきました。
男性は、その声によって命が蘇った気持ちになりました。
そして、声の主のところへどうにかして辿り着き、しばらくして救援ボートが到着したというお話です。
東日本大震災の時、真っ暗な体育館の中で一人の女の子が歌を歌い始めると、大合唱になったことがあったそうです。
この話は何かの新聞記事で読んだのですが、その歌が何であったのかや、その女の子がこの本を読んでいたのか分かりませんが、本作は勇気を与えてくれる短編が詰まった一冊です。
小学生や中学生のお子さんに是非ともおすすめの本です。
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